慶應湘南藤沢は↑、明大明治第2回は↓
青学は志願者数が激増も
受験率22.7%(日能研の推計)と、過去最高を記録した前回2024年の首都圏(1都3県)の中学受験。受験者数(6万5600人)の方も23年入試に続く過去2番目だ。首都圏の小学6年生の人口が減る中、25年入試は沈静化に向かうかというと、より激化する可能性の方が高い。
四谷大塚の岩崎隆義情報本部本部長は、「首都圏の小学6年生の人口は前年よりマイナス250人と微減しているが、東京都だけは逆に705人増えている。人口増加エリアの受験率を考えると、25年入試の受験者数はむしろ増えるとみている」と分析する。
この中学受験熱の背景について、森上教育研究所の森上展安代表は、「コロナ禍の影響で、学力中位~下位層の参入が増える中、25年入試はさらに高校授業料の実質無償化も追い風になっている」と指摘する。実際、多くの中堅校で志願者数が増加中だ。
激化必至の首都圏の25年入試における最大の焦点が、いわゆる「プチ・サンデーショック」だ。「2月2日が日曜日に当たるため、例年この日が入試日となるプロテスタント系の青山学院の入試日が翌3日にずれる」と、SAPIXの広野雅明教育事業本部本部長。
「その結果、2日に入試を行う慶應義塾湘南藤沢や立教池袋(1)、学習院(1)、明治大学付属明治(1)などの他の大学付属校の志望者数が増える可能性がある。一方で、青学と入試日がぶつかる明大明治(2)や学習院(2)、学習院女子Bが、青学に受験者が流れることで、志望者が減るとみている。ただし、志望者動向が読みづらくなることは間違いなく、十分注意して志望校選びをしてほしい」(広野氏)
実際、青学の入試日変更による影響は、9月に行われた四谷大塚の「第3回合不合判定テスト」における女子の各校志望者数の昨年比率からも見て取れる。
ただし、この志望者数の増減がそのまま難易度につながるわけではない。「学校側は受験生の増減に応じた歩留まり(入学手続き)率を考えて合否を出すので、実際の難易度は、例年とほぼ変わらないとみている」と岩崎氏は言う。
また、25年入試は個別の学校のトピックも少なくない。
「注目校は、東京農業大学第一。高校募集を停止して完全中高一貫校化し、25年入試で2月1日午前の入試を新設する。1日午前の受験者の大半は、その学校を第1志望として受けるため、農大第一の1日午前がどのくらいの難易度になるかが注目される」(広野氏)
加えて、アップ執行役員で進学館ルータス統括の吉田努氏は「宝仙理数インターが、順天堂大学の初の系属校になり、医学部に数人程度の内部進学枠を得たこと」を挙げる。「同大医学部の学費は他大に比べて格安で人気。理数インターの系属化初年度の入試が穴場になる可能性もある」(吉田氏)。
最難関校に目を転じると、新女子御三家の豊島岡女子学園が「算数・英語資格入試」を新設したことに注目だ。算数の得点を2倍し、これに英検のみなし得点を加えた300点満点で合否が決まる。
「豊島岡レベルの学校が導入することで、他の難関校も追随する可能性がある。同じく日本女子大学附属と光塩女子学院が2月1日午後に算数1教科入試を新設したように、女子でも理系重視の入試方式が増えていくだろう」と吉田氏。
レバレッジが効く中高一貫校や
直前期の対策、併願戦略も
『週刊ダイヤモンド』11月30日号の第1特集「わが子が伸びる 中高一貫校&塾」では「東京一工」や「早慶上理」、「MARCH」といった上位の大学に多数の合格者を輩出しながら、中学入試の難易度はさほど高くない「コスパのいい」中高一貫校313校についても複数の角度からランキング。注目度の高い「医学部」や「理系」に強い学校もランキングで紹介します。
また、実践で使える記事も多数盛り込みました。すご腕のプロ家庭教師集団「名門指導会」の西村則康代表による「逆転合格を目指すスケジュールの組み方」や「希学園首都圏の鉄壁併願戦略」など参考になるはずです。西村氏は逆転合格の秘訣は「取り組むべきことを取捨選択すること」だと指摘しますが、その意外なポイントとは?
その他、中学受験の新年度2月に向けた「塾選び」や、専門家注目の「中堅校18」など本音で切り込んだ記事が満載です。25年入試までの残り2カ月は、今まで以上に「両親の伴走」が重要になります。本特集が少しでも役に立てば幸いです。